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FCoVとは?
猫コロナウイルス感染症

はじめに
 人間を含む多くのほ乳類や鳥類にコロナウイルスは発見され、大体はその動物種だけに感染する弱いウイルスというのが一般的な性格ですが、最近になって感染力が強く、病気を起こす力も強いSARSコロナウイルスがみつかり、急に恐ろしい病原体としての認識が持たれるようになりました。ところが、猫の世界には、コロナウイルスによる恐ろしい伝染病、猫伝染性腹膜炎(FIP)というものが古くから知られていました。
この項を猫伝染性腹膜炎(FIP)という題にしなかったのには理由があります。FIPウイルスはもちろん猫のコロナウイルスですが、それだけではなく、猫がFIPウイルスにかかって発病するのではなく、猫コロナウイルスに感染した猫の一部がFIPを発症することがわかったからです。したがって、FIPの予防には、FIPウイルスを何とかするのではなく、猫コロナウイルス自体を何とかしなくてはならないからです。そういった意味で、猫コロナウイルス全般に関する正しい知識を持って頂くために、この項を新たに書き下ろしました。

病原ウイルス
 コロナウイルス科、コロナウイルス属、猫コロナウイルス(Feline coronavirus: FCoV)が病原体です(図14)。

FCoVはどんなウイルス?
 FCoVは世界中で猫の集団内に広範に存在しています。多頭飼育の環境では、猫の血液中の抗体を調べると、抗体を持った猫が非常に多く、しかも猫の35-70%が随時糞便中にFCoVを排泄すると言われています。このようなFCoVは、通常は別の猫に感染して抗体を陽転させるのみであり、何ら病気を引き起こすものではありません。もちろん、このウイルスがFIPを起こすわけでもありません。ではない。しかし、FCoVは集団内では容易に感染するため、猫の抗体の陽性率は一般に高く、東京地方の飼い猫の約50%が1:400以上の高い抗体価を持っています。このことからも「高い抗体価=FIPではない」ということは、まずもって知っておく必要があります。
コロナウイルスは一般に変異が起こりやすいウイルスといわれています。たとえば、2つのウイルス粒子がここにあると、同じ猫から排泄されたウイルスであっても、遺伝子の一部は変わっているといわれます。
FCoVにはI型とII型があります。I型が元祖猫コロナウイルスで、II型は犬コロナウイルスとFCoVが組換えを起こした結果生じたハーフのウイルスなのです。どちらがどちらに感染した結果なのかは明らかではありませんが、少なくとも犬コロナウイルスが猫に感染することはあるといわれています。I型とII型のどちらが多いかといえば、圧倒的にI型が多いのですが、ではどちらが病原性が高いかといえば、普通はどちらも低病原性で、猫に病気を引き起こすことはありません。
ところが、I型、II型のFCoVどちらにも、それぞれ2つのバイオタイプというものがが存在します。バイオタイプというのは、形態的、血清学的に区別することはできませんが、猫に接種した場合の病原性のみが異なるものです。すなわち、猫に対してほとんど病原性を示さず腸管に感染するものが猫腸コロナウイルス(FECV)であり、猫に接種して猫伝染性腹膜炎を引き起こす強病原性のウイルスが猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)なのです。
図14 細胞内にみられるコロナウイルス粒
図14 細胞内にみられるコロナウイルス粒
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